Lupus psychosis : SLEの精神症状(2012年,第53回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(鹿児島))
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概要
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Lupus psychosisには特徴的な症候,すなわち,基本的にうつで,自閉症に似て医師が患者の心の内面に入りにくい疎通性(rapport)を欠いた精神状態がみられる.躁が前に出る場合でもうつが基盤になり,それはウイリアム・オスラー博士が"the patient who imagines all sorts ofthings"と語ったように,妄想,幻覚を伴いimaginationの世界に遊ぶ特有の精神症状である.発症時期も特徴的で,全身性エリテマトーデス(SLE)の活動期をやや過ぎて,治療によって症状が鎮静化しはじめた頃に出現しやすい.診断はこうした特有の症候による.原因究明は,ステロイド治療による修飾以前の所見が大前提になるが,そこに症候を説明するに足る病理所見は見い出されず,形を残さない機能的変化が本症の病態を形作るとみなされる.現在のところ,真の原因とするためのコッホの三原則,すなわち原因が(1)現場にある,(2)そこから取り出すことができる,そして(3)それを生体に返して症状が再現される,を満たすのはインターフェロンα(IFNα)だけである.
- 2013-12-01