行動療法が奏功した激しい問題行動を伴うPrader-Willi症候群の肥満治療(原著,<特集>精神障害者援助とSST)
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概要
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Prader-Willi症候群(PWS)は、筋緊張低下、肥満、性腺発育不全、精神遅滞を主徴候とする先天性疾患である。肥満とその合併症が生命予後にかかわることから、肥満対策が不可欠とされている。今回筆者らは、身体合併症(心不全、糖尿病、睡眠時無呼吸)があり、生命維持のために減量が必要であったが、食行動異常のほか、こだわり、かんしゃく、放火、俳徊などの多くの問題行動のため、小児科での治療が困難であった13歳男子のPWSの入院治療を行った。入院後も激しい問題行動と、体重測定さえできないほど肥満治療に対しての抵抗が強く、入院生活の継続も懸念された状態であったが、刺激を統制し、オペラント強化法を用いるための治療上の工夫を行ったことにより、患者が積極的に楽しく肥満治療に取り組みながら16kgの減量に成功し、身体合併症の著明な改善がみられた。この治療成果は本症例の生涯にわたる肥満治療において重要な役割を果たすと考えられた。
- 2004-03-31
著者
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中谷 江利子
九州大学大学院医学研究院精神病態医学
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中川 彰子
九州大学大学院医学研究院精神病態医学
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大隈 紘子
大分県精神保健福祉センター
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中谷 江利子
九州大学大学院医学研究科精神病態医学
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磯村 香代子
福岡県精神保健福祉センター
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中川 彰子
川崎医科大学精神科学教室
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中川 彰子
九州大学大学院医学研究科精神病態医学教室
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