曝露-反応妨害法が有効であった強迫神経症の4症例(症例報告)
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概要
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強迫神経症4症例(慢性例2例,急1生例2例)に曝露一反応妨害法を用いて治療を行ない,有効な結果が得られた。各症例の具体的な治療について述べ,学習過程および本技法施行上の留意点について考察を加えた。(1)急性例では恐怖刺激と回避行動の結びつきが弱く,本技法により急速に症状が消去された。一方,慢性例では恐怖刺激と回避行動の結びつきが強固であり,かつ強迫行動が儀式的になっており,治療に長期間を要した。(2)本技法が有効であったこの4症例の特徴として,恐怖刺激が限局されており,恐怖刺激への曝露の操作が容易であったことと,強迫行動が主症状であり反応妨害が十分に実施でき,慣れを生じさせることができた点があげられる。(3)全般的な恐怖が強い症例には,不安拮抗反応を併用することにより,本技法を有効に施行できた。(4)強度の制縛状態を呈している症例については,フラディソグのためにレクリェーショソ等に参加させたところ,自己の制縛状態に対して認知的変化をもたらすことができた。このような認知的変化が治療の動機づけとして重要であると考えられた。
- 1987-03-31