多文化共生のための媒介力 : NPOによるニューカマー支援に携わるボランティアに関する研究
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概要
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本研究はNPOによる多文化共生支援に関わるボランティアに焦点を当て、彼らがニューカマーの子どもだちとの交流を通じて受け取る「媒介力」について検討する。この論文では、初期の媒介力とは何か、どのような機能を持つのか解明することを目的とする。筆者はフィールドでの観察からボランティアがニューカマーの子どもたちに共感し、対話し、ニューカマーの個別のありようを認めることにより「ボランティアはニューカマーの視点を共有する」という過程が存在することを明らかにした。この視点の共有がボランティアが身につけるは初期の媒介力である。ニューカマーの思いはボランティアのサポートによって映像作品や作文などの表現の形をとり、ホスト社会に伝えられ、ニューカマーはホスト社会からフィードバックを受け取る。このニューカマーとホスト社会の間の双方向の交流もまたボランティアによって支援されている。これがボランティアの媒介力が果たす機能の一つである。やがてボランティアは媒介力を発揮することが出来る職業を選択し、実社会に出て行<ことが観察された。
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