東日本大震災における建築計画系災害調査の調査経緯と社会的意義(<特集1>建築社会研究は東日本大震災とどのように向き合うのか)

概要

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本稿では震災直後における調査の在り方と社会的意義について、調査実施過程を整理し検証することを目的とする。まず筆者が主に建築計画に関わる災害調査の検討、企画、実施のプロセスを記述する。次に各段階における議論及び課題を明記し、今回の震災との関係及び他の災害調査との比較を行う。後半では、まず災害調査における調査被害とは何かを整理した上で、日本建築学会が調査被害軽減のために試みた調査共有を、被災地での調査活動の視点から何が有効に機能し或は課題となったかを検討する。その上で災害調査の在り方として、次の4つの点について提示する第一に様々な分野間の合同調査の場合、対象、指標及びアウトプットを明確にし共有すること。第二にアウトプットとフィードバックが重要であり、調査プロセスの設計の中で明確に組み込むこと。第三に、被災地の状況は日々変化し調査実施の効率性を高めるために、webなどを介した被災地外におけるデータベースの作成などの遠隔地の組織的な支援体制は今後の検討課題である。第四に、震災前の地域との日常的ネットワークの形成が災害直後の調査においても有効に機能する。
2011-12-30