トランザクションという単位の有効性(<特集>トランザクションの読解と展開)
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概要
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本論文の課題は、トランザクションという単位の有効性を明らかにすることである。トランザクションという単位は全体をとらえることを含意しているため、これまで「人と環境は一体のものである」というテーゼに代表される人と環境の同一視・完全な融合という極端な単位として受け止められることが多かった。トランザクションをそのような極端な単位として受け止めることは、トランザクションという単位の有効性を著しく損なうことになる。そのため、全体について理解を深めた。具体的には、「取り囲むという環境の特性」「主体の周囲」「時間」について検討を行なった。その上で、(1)トランザクションという単位における全体とは、主体である人の視点からとらえることのできる範囲であること、(2)人は環境に取り囲まれながら、かつ環境を知覚しているため、人と環境は内的関係にあること、そして、トランザクションという単位における全体とは、人と環境の内的関係における時間的な変容・展開であること、を提示した。つぎに、著者による特別養護老人ホームでのフィールドワークの事例の紹介と考察を通して、トランザクションという単位の有効性についてさらに検討を行なった。
- 人間・環境学会の論文
- 2010-11-30