異文化理解の授業における高校生の学び : 肯定的な自己像の構築
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概要
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本稿の目的は、私立K女子高等学校、留学特進コースの生徒を対象に実践された異文化理解の授業を通して、生徒が何を学んだかを報告することである。文化が異なる人々と効果的に相互作用する能力、すなわち異文化間能力を養成するために、総合学習として異文化理解の授業が、留学前の1年次に、週1回2時間連続で行われた。授業の目的は、様々な文化の知識、多様性の気づき、違いを楽しむ態度、異文化の人々と良い関係を築くスキルを養成することで、認知的理解を養うための講義と情動的理解を養うための経験学習から構成された。授業のシラバスや指導方法を紹介すると共に、ジャーナルの分析により生徒の学びを考察する。特筆すべきは、ディスカッションとジャーナルの効果である。生徒は、ディスカッションにおけるクラスメイトの多様な意見に刺激され、視野の広がりを実感した。そして、ジャーナルの記述は、自己と向き合い、授業の学びをさらに深化させる機会となった。生徒は様々な活動から、自己の特質を把握し、違いを尊重するという態度により、自己をあるがままに受け入れることができた。中学では自信がもてなかった生徒が、自尊感情を育み、個性豊かという肯定的な自己像を構築できたことが、異文化理解の授業の最大の学びであったと考察する。
- 多文化関係学会の論文