単語親密度と発話能力の習得 : 小学校4年生を対象として
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿では,小学校4年生を対象に,外国語(英語)活動前・後にわたる11の学習語彙に対する親密性(単語親密度)の経時的な変化を明らかにした。さらに,単語親密度が高かった語彙に対する発話能力についても検討した。その結果,(1)英語活動前に比べて活動後に単語親密度が統計的有意に向上した語彙はbird, dog, giraffe, chest, mouth, hipであった。gorilla, noseに関しては英語活動前において既に高い親密度を有していた。次に(2)児童の単語親密度が高いと評価された4語彙(gorilla, nose, mouth, hip)に対する発話能力を調べた結果,gorilla, nose, mouthに関しては,多くの児童がカタカナ語として発音しており,正しく発音できていないことがわかった。hipに関しては,ほとんどの児童が正しい意味の理解ができておらず、発話もできなかった。以上のことから,児童の単語親密度は英語活動を通して変化する(向上する)ことが示された。しかし単語親密度が高いことが,必ずしも正しい発話能力の習得につながっているわけではないことがわかった。このため,「コミュニケーションの素地を養う」英語活動において,学習語彙に対する正しい意味理解ができているか否かの確認や,学齢に応じた発音指導の在り方を検討しつつ,「話す力」の礎を養っていく必要があることが示唆された。
- 小学校英語教育学会の論文
- 2013-03-20