企業ドメインの定義における経営哲学の役割(自由論題)
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概要
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企業の戦略策定においては、企業が直面する環境の認識とその対応という点で、経営者の果たす役割が大きい。戦略的な構想の策定における経営者の役割は、とりわけ、その影響力が著しいものになる創業期の企業において、重要な意味を持つ。策定される戦略の独自性は、企業ドメインの定義(将来の事業展開の方向性)に左右される部分が少なくないからである。そのうえ、企業ドメインの定義においては、経営者自身が環境をどのように認識し、どのような組織的コンテクストを形成するかといった、経営者個人の果たす役割が大きな比重を占めているからである。そこでは、経営者自身の思想や信念、価値観を含む経営哲学が影響を及ぼしている。本発表では、パン製造小売企業タカキベーカリーの創業期における画期的な商品の開発・市場化の事例を取り上げ、創業者へのインタビューを主体とした調査を通じて明らかになった事実をもとに、経営哲学が企業成長に及ぼす影響について考察する。タカキベーカリーの企業成長プロセスでは、特異な企業成長プロセスを導いた数々の施策は、企業ドメインの定義に基づくものであり、そのようなドメイン定義には経営者の経営哲学が大きな影響を及ぼしていた。「食べることの楽しさを提案」や「食生活の豊かさ、楽しさ、夢を伝える」、「ライフスタイルの提案」といった方針に基づく商品やサービスの展開は、パンを作って売るという事業領域を超えた、新たな複合サービス事業を生み出した。
- 2013-10-18