経営者哲学に関する一考察 : 哲学形成の視点から(自由論題)
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概要
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わが国においてリーダー不在の時代といわれている。なぜなら,株主価値至上主義や極端な短期利益志向の経営により,利益の最優先や損失の隠蔽から生じた不祥事が増加しているからである。それにも関わらず,かかる主義や志向の立場に立つ経営者も少なくない。経営者が経営を行う上で持ちえた価値とは何であり,その背景にある経営者哲学とは何であろうか。以上の問題意識から,戦後に活躍した経営者を採り上げ,経営を通じて形成された経営者哲学について考察を行った。経営者哲学には,経営者自身の哲学と経営体哲学があり,経営者自身の経験を通じ形成された経営者の主観から,経営体の哲学として一般化した経営者哲学であると定義づける。つまり,経営者哲学は経営者自身の哲学に基づき,経営体において企業哲学及び組織哲学を通じ事業哲学が実践されてきたということである。そして経営者哲学は経営者の宗教的なものによって形成されてきたということを明らかにした。各経営者の経営者哲学の考察から宗教的なものが見られ,修羅場の経験からの死生観や真理や本質を求める態度から形成されてきた。かかる経営者自身の信念は経営活動を通じて経営体の哲学となり社会の豊かさを目指してきた。すなわち,貧困を克服し衣食足りる社会かつ平和で安定した上に成り立つ精神的に豊かな社会を実現すべく経営者哲学が形成されてきたのである。したがって過去の経営者哲学の今日的意味は、社会の豊かさの実現といった社会貢献を事業哲学に基づいて形成してきたことにある。つまり,企業哲学や組織哲学を手段化して事業哲学を目的に経営者哲学は形成されてきたと結論づける。
- 2013-10-18