ダイズにおける器官別乾物重の相互関係
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ダイズの器官別乾物重やそれぞれの器官の乾物重が総乾物重に占める割合(器官率)について,器官間あるいは総乾物重との間に一定の関係があるのかを明らかにすることを目的とした。1999年はタマホマレ,2002年はタマホマレ,東山 69号,Peking を供試し,様々な総乾物重のサンプルを得るために遮光および間引き処理を行った。また,2003年はタマホマレの播種期を変化させ,2012年は Lee の根粒非着生系統を供試して窒素施用量を変えて乾物生産量を変化させた。これらについて器官別乾物重を測定し,その相互関係および器官率について解析を行った。その結果,器官別乾物重はいずれも総乾物重と有意な相関があり,器官間においてもそれぞれ有意な直線関係が認められた。一方,器官率は総乾物重が小さい場合に子実で低く,茎葉で高い傾向があった。それぞれの器官間における器官率の関係は,栄養器官同士もしくは生殖器官同士の間には正の相関が,栄養器官と生殖器官との間には負の相関が認められたが,器官別乾物重間でみるよりも回帰式の決定係数は低かった。また,生育期間が短くなった場合の器官率には他の条件下とは異なる傾向が認められた。以上から,各器官の乾物重や器官率間には一定の関係があり,それらの関係式を利用してある器官から別の器官の乾物重や器官率を推測できる可能性が示唆された。しかし,総乾物重が低い場合や生育期間が短い場合には器官率が変動するため,器官率を利用して他の器官の解析を行うことは精度が低くなる可能性があり,複数の器官別乾物重データを組み合わせて補正する必要があると考えられた。また,収穫指数は葉を無視した収穫指数と高い相関があり,収穫指数の代わりに葉を無視した収穫指数を利用できるものと考えられた。
- 2013-12-16