児童虐待対応制度の基本構造とその意味 : 親と子の主体化を基準とする分析モデルの提唱
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概要
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児童虐待への対応に多様性のあることは広く認められているが,その評価基準や整理は十分とはいえない.そこで本研究は,児童虐待対応制度の基本構造を明確化する類型を構築し,制度の多様性の把握および変化の方向性をとらえることを目的とした.児童虐待対応を「親から子へのケアに対し社会が不適切であると判断して介入すること」と定義すると,児童虐待対応は,親と子,介入と自律という2組の対概念から構成されていることが分かる.これを組み合わせてできたモデルを「児童虐待対応制度の構造分析モデル」と名づける.本モデルを日本を含む4か国の制度に適用した結果,日本を除く3か国は,親と子の自律を担保する制度構造であることが明らかとなった.先行研究では分析対象が介入に焦点化されていたために,類型間で矛盾がみられたり,類型間の移行パターンを理解することが難しかったが,本研究では2つの対概念を分析軸としたことで,こうした矛盾の解決が可能となった.
- 2013-08-31