新国際学校における英語圏からの帰国生徒のライティング力保持に関する一考察
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概要
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英語圏からの日本人帰国中高生108名を対象に、日本語が教育言語であるが非常に恵まれた英語環境でもある国際学校に通学することで、どのように英語力が保持・伸長されるのかをAcademic Language Proficiency (ALP)を視点として調査した。計測ツールとしてTOWL-3を使用して、英語ライティングの基本的規則(CC)・文法と語彙力(CL)・物語展開力(StC)・総合力(Quotient)を調査した。その際各学年の対象者を、低年齢で英語圏に渡航し長期間滞在した群と、少し高い年齢で渡航後比較的短期間滞在した群に2分した。その結果、(1)全学年・全群ともに同年齢の母語話者の平均値を維持できていることや、多くのケースでは母語話者の平均値を上回る成績を上げていること、(2)また帰国前の英語到達度が高いほど帰国後の保持率が高いこと、(3)言語要素としての認知的負担が高くなるCC/CL/StCの順に保持率が下がること、(4)中学3年生以降はライティングの要求水準が高くなるために全体的に保持・伸張が容易でなくなること等も判明した。1言語で年齢相応のALPがあれば、教育言語が変わっても十分に2言語の保持・伸張が可能であることを支持する結果が得られた。
- 2012-03-31