腹部大動脈瘤人工血管置換術後に筋腎代謝症候群、ガス壊疽を呈した1例
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概要
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腹部大動脈瘤人工血管置換術後に重症下肢虚血状態となり筋腎代謝症候群、ガス壊疽を呈した症例を経験したので報告する。症例は73歳,男性。8年前に大動脈解離(Stanford B型)発症。術前3ヶ月前に狭心症に対して冠動脈バイパス術が施行された。最大径60mmの腎動脈下腹部大動脈瘤に対し待機的手術となった。手術は腹部正中切開にて人工血管置換術を行った(腎動脈下腹部大動脈〜両外腸骨動脈へのY字バイパス、下腸間膜動脈再建)。人工血管置換終了後両下肢末梢動脈触知困難となり血栓除去を行った。左下肢からは血栓除去できたが、右下肢動脈には血栓なし。両下肢ともに血流改善がみられず緊急血管造影検査を行った所、両下肢ともに下腿三分枝まで造影されたが非常に造影が遅延していた。有効な改善手段がなく、保存的加療を行った。術後筋腎代謝症候群を発症し持続的血液透析濾過を開始した。左下肢全体は暗紫色を呈し、所々に皮膚壊死とびらんが出現、ガス壊疽へと進展した。高圧酸素療法を行なっても改善せず。その後多臓器不全となり術後54日目に死亡した。
- 2013-09-25