術前診断が困難であった回盲部放線菌症の1例
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概要
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症例は79歳女性. 右下腹部痛を主訴に当院受診. 腹部造影CTで盲腸に壁肥厚を認め, 大腸内視鏡検査を施行したが盲腸に粘膜病変を認めず, 症状も軽快したので経過観察となった. 右下腹部痛が再燃して当科紹介. 腹部造影CTを施行したところ, 盲腸の壁肥厚に加えて大腰筋や腸骨筋に造影効果を伴った腫大部を認めた. 大腸内視鏡検査では盲腸粘膜に腫瘍性病変を認めなかったが, 悪性リンパ腫等の悪性腫瘍を否定できなかったので診断・加療目的で手術となった. 開腹所見では盲腸の壁肥厚が腸骨筋に連なっており, 病巣の一部を腸骨筋に遺残するかたちで回盲部切除術を行った. 病理組織学的所見で膿瘍内に棍棒様構造を伴う菌塊を認め, Grocott染色陽性で放線菌症の診断となった.腫瘤が腸管外性に増大して粘膜下腫瘍像を呈するときには腹部放線菌症を念頭に置く必要がある.
- 2013-09-25