東日本大震災直後における歯科診療ニーズおよび現地歯科医師会と海上自衛隊歯科による診療連携 : 宮城県本吉郡南三陸町と気仙沼市大島において
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概要
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2011年3月11日,東日本大震災が発生し甚大な災害となったが,海上自衛隊(海自)は災害派遣命令により宮城県沖に多数の自衛艦を派出した.被災地では歯科医療機関の被害もあったため,海自移動歯科班を歯科診療支援要請に基づき,3月26日から4月21日まで宮城県本吉郡南三陸町および気仙沼市大島において歯科診療支援を実施した.一方,現地歯科医師会歯科班は3月20日から4月25日まで各避難所を往診車にて巡回診療を行った.現地歯科班と海自歯科班は協働して歯科診療支援を行い,避難所等における診療実績および質問紙調査から,震災直後の歯科診療ニーズ,口腔清掃状況ならびに現地歯科班と海自歯科班の診療連携について調査した.調査対象は初診患者数455名,延べ患者数584名,疾患内訳はう蝕31%,歯周疾患23%,脱離17%,義歯不適10%,根尖性歯周炎9%,義歯紛失2%であった.災害対策本部があった志津川ベイサイドアリーナにおける経時的な受診調査では,震災直後から最多疾患であったう蝕は調査期間中増加傾向を示し,歯周疾患は2〜3週以降減少傾向を示した.主訴発現に関する調査では震災直後から震災後1週の主訴発現は全体の12%であったが,その内75%は急性症状を伴っていた.本調査から震災直後における歯科診療ニーズが確認できたが,現地歯科班による避難所等の情報収集能力と海自歯科班の機動性や装備を生かすことにより相互補完的な支援が可能であることが示唆された.
- 2013-07-30
著者
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