植物工場におけるビジネス化の可能性(自由論題)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
我が国は先進諸国の中でも食料自給率が特に低い国である。農業をはじめとする食料生産への取り組みの重要性が今まさに問われている。消費者は、産地偽装や輸入食材等にとても過敏になり安心や安全に関心が高まっている。さらに東日本大震災と原発事故の発生、そしてその被災地で展開されてきた農産物への被害は、まさに我が国に突き付けられた食料問題への危機的状況である。この食料問題に対し、企業が施すビジネスとして解決策を見出す可能性について本研究では着目した。そこで、食料生産に関する新たなビジネスとして植物工場に注目し検討を試みたのである。植物工場のビジネスについて考察するにあたり、この概念の検討を試みる必要がある。植物工場の資料などを調査していくと同様の意味で用いられている用語が数多くあることがわかった。本研究では、まず、この植物工場の用語の整理と概念を示すことから始めることにした。そして、この植物工場のビジネスが、どのようなメリットとデメリットを有しているのかを整理した。さらに、経営戦略的な観点から、垂直統合の考え方や多角化戦略の考え方に基づいて、植物工場のビジネスへのどのような参入と展開が考えられるのかを検討したのである。本研究で取り上げた植物工場は、産業という枠を超え、また異分野にまたがるものである。食料問題についてビジネスで解決をするという視点、そして植物工場をビジネスとすることで新たなビジネスの展開の可能性として考えると、そこには社会を拓くイノベーションともいうべき新たなビジネスの代替機能が浮き彫りになると考えられる。最後に今後の課題についても言及する。
- 2013-06-07