軽費老人ホーム居住者が行う認知症デイ利用者との交流・支援活動についての一考察
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概要
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在宅生活に不安を感じた高齢者が軽費老人ホームに入居すると,職員の保護により安心が得られる反面受け身になり,自ら主体的行動を自粛し社会生活を狭める傾向がみられる. 本研究では,軽費老人ホーム職員の勧めにより,ホーム居住者50人のうち80歳以上の5人が,ホームと同じ建物にある認知症デイサービスで交流・支援活動を始めてから約3年余りの間に生じた変化を追跡し分析した.結果,ホーム居住者は,認知症デイ利用者との関わりに戸惑いながらもデイ利用者との間にピアサポートの関係が生じた.またデイ職員との間には,お互いの立場を超えて尊重し合える関係が生じ,居住者自身は人に役立つ存在であることを実感し,それが生きがいとなって生活が活性化した.このことから,高齢者の持てる力に目をむけ,他者との交流や活動の場を提供し見守ることは,ホーム居住者の生活活性化と自立維持に向けた試みとして,効果的であることが明らかになった.これらのことは,軽費老人ホームに限らず多様な生活支援付き高齢者集合住宅においても,居住する高齢者同士の関係性維持及び生活活性化に向けた支援として活用できると考える.
- 2013-10-31
著者
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岩下 清子
元国際医療福祉大学大学院 先進的ケア・ネットワーク開発研究分野
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市川 光代
国際医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科 保健医療学専攻 先進的ケア・ネットワーク開発研究分野 博士課程 2012年3月修了 (現職)三育学院大学 看護学部 看護学科