過疎地域の就業者変化にみられる格差の要因分析 : シフトシェア分析における地域特殊効果に着目して
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では,全国の過疎地域における就業者数がどのような要因によって変化し地域差をもたらすのかを明らかにすることを目的として,定量的な分析を行った.まず,シフトシェア分析モデルを用いて時系列的な就業者変化を全国成長効果,産業構造効果,地域特殊効果の3効果に分解した.次に,重回帰分析を用いて,地域固有の影響により変化する地域特殊効果に結びつく要因を明らかにした.シフトシェア分析の結果,過疎地域における就業者数は主として地域特殊効果によって変化することが明らかとなった.例外的に1990〜95年,1995〜2000年の期間は産業構造効果がより影響力を有していた.これは,バブル経済崩壊の影響による景気後退と産業構造の変化が要因となっていると考えられる.地域特殊効果がいかなる要因によって説明できるかについては,本研究独自の重回帰分析を用いて検証した.ただし,その目的変数には地域特殊効果の次元を無次元化した値を用いた.一方,使用した説明変数は,産業分類に応じた13個の特化係数と全国を11の地域ブロックに分割することによって得られる10個のダミー変数である.本研究では,1970年から2005年までの35年間から抽出した28通りの期間すべてについて上述の重回帰分析を行った.その結果,1985〜95年の10年間を対象としたモデルにおいて補正R^2値が約0.55となり,最も説明力の大きいことが確認できた.また,説明力の上位4モデルはすべて1990〜95年の5年間を対象期間に含んでおり,バブル経済崩壊の影響が顕著にあらわれていると推測される.
- 経済地理学会の論文
- 2013-06-30