林業政策の転換期における地域の林業振興に対する林業普及指導員の行動分析 : 滋賀県湖東地域における林業普及を事例として
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概要
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本稿では、森林・林業政策が大きく転換していこうとする現局面において、森林組合の改革の指導や支援をしていく主体として大きな役割を担う林業普及指導員の施業集約化や森林経営計画に対する普及指導のアプローチおよび巡回指導の実態を事例分析した。滋賀県湖東地域では、複数の事業体の施業地が面的に錯綜していること、森林組合は施業集約化の達成に悲観的であることなど、地域の林業振興の負の要因がある。また、林業普及指導員は、巡回指導の多くを補助事業の業務に付随して取り組んでおり、さらに、林家に対する直接的な普及指導が行われていない。このような状況において、林業普及指導員は、国の補助事業や政策を活用し、主に森林組合の職員に対して、地域の現状を考慮した一定の方針のもと、森林組合と組合員の信頼関係の構築や効率的な材の搬出に資する働きかけを行っている。今後、林業普及指導において、林業普及指導員が直接林家に働きかけを行い、組織形態や利害関係の異なる事業体の間の調整に関わることのできる体制の整備や林政での位置づけが求められよう。
- 2013-08-01