頸髄損傷の若年男性に併発した自立神経過反射による高血圧性脳内出血
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概要
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リハビリテーションのため入院中に自律神経過反射による脳内出血を併発した36歳男性頸髄損傷者の1症例を報告する.本患者は第6頸椎骨折による完全四肢麻疹(第6頸髄節以下で運動麻痺,第7頸髄節以下で感覚麻痺)であった.尿道カテーテルが3ヶ月間膀胱内に留置されていたため膀胱拡張能は低下していた.膀胱容量は200mlに減少しており,膀胱充満時にはつねに頭痛を訴えていた.より円滑な尿流を得るために膀胱瘻か造設された.頭痛は一時的に治まったが程なく再発し,血圧の極端な上昇を伴って典型的な自律神経過反射の症状を呈していた.しかし,潜在的な引き金が見つからず除去できなかったことと,血圧管理ができていなかったことで,左被殻出血を併発した.手術療法が行われたにも関わらず,右上肢の筋緊張は進行的に増大し,最終的には肘屈曲拘縮を伴った凍結肩を呈するに至った.この重大な合併症をもたらした誘因は2つあげられる;第1に膀胱瘻カテーテルのわずかな機能不全や刺激が自律神経過反射をもたらしたこと;第2に医療スタッフが自律神経過反射に関する十分な経験と知識を持ち合わせていなかったことである.頸髄損傷患者のリハビリテーションに従事する医療スタッフにとって,自律神経過反射の引き金に関する情報を共有することと,正しい医学的管理を確実に行えるように徹底させることは極めて重要である.
- 2013-06-01
著者
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