多様化する子育て支援の現状と課題 : 第2報 : 東日本大震災避難者に対するP市の事例から
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿の目的は、2011年3月に発生した東日本大震災における福島県からの避難親子に対し、隣県にあるP市の行政とNPOが行った子育て支援の取り組みを検証し、その課題を明らかにすることである。P市を調査対象にした理由は2つある。第一に、中越新潟大震災を経験しており、災害時に即起動できる体制を整えていたこと。第二に市内に3か所の全天候型子育てセンターを有し、そこを拠点として平素から子育て支援に力を入れていたことである。調査はフィールドワークと関係者へのインタビューによって行った。その結果、避難所への出前保育の実施や、保育所・一時預かりにおける費用免除、避難者が子育て支援センターに行くための移動手段の確保、住宅費用の3年間免除など多くの対策が震災後の早い段階で実施されていたことが明らかになった。その一方で、現場の保育職員やP市民一部からは、避難者に対する無理解な言動もみられ、避難者支援に対する認識統一の点が課題として残された。またP市に本拠を置くNPO「N」は避難してきた親子に対する対等な立場からのエンパワーメントを目標に「福島サロン」を継続し、行政とは異なった親子支援を展開していることが注目される。災害時の親子支援を通して、日常の子育て支援の在り方を逆照射し考察した。
- 2013-03-31
著者
関連論文
- 泉北ニュータウンにおける独居高齢者の孤立と人的ネットワーク : H台住区における事例調査
- 泉北ニュータウンの現状と居住・福祉--H台住区における独居高齢者の生活実態調査
- 多様化する「子育て支援」の現状と課題 : 新たなニーズとそれに対応する事例から
- 子育てとジェンダーを考える : 日本における男性の子育ての変化を通して
- 多様化する子育て支援の現状と課題 : 第2報 : 東日本大震災避難者に対するP市の事例から