医薬の世界同時開発と多地域試験
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概要
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新薬開発と臨床試験の方法は1990年以降大きく変化した.それは日米欧の医薬品規制調和国際会議(ICH)によるものである.本報告では,はじめにICHガイドラインを軸とした臨床開発の方法論の変遷の跡をたどり,どのようにして現在の同時開発と国際共同試験が推進されるに至ったかを明らかにする.次いで,現在の臨床開発の基本にあるブリッジング概念と,その主要な課題である民族的要因の評価ならびにブリッジング試験の方法を概説する.現在医薬品の臨床開発は世界的な同時開発を意識しつつ行われている.そこでは多地域試験が主要な試験方法となっている.多地域試験は薬物応答性に関する民族的要因の影響が異なりうる複数の地域を含む国際共同試験であり,全地域にわたる薬剤の全体的な効果の検出とともに地域間一貫性の評価を主要な目的とする試験である.したがって,従来の欧米を中心とした国際共同試験と多地域試験の特徴と相違を明らかにし,多地域試験の計画と実施における留意事項を述べる.そのうえで,世界的な同時開発に基づき日本住民における適切な用法・用量の選択と有効性ならびに安全性の評価をどのように実施すればよいかを考察する.最後に医師主導型の国際共同試験における留意事項を述べる.
- 2011-02-00