組込みソフトウェア向けの故障木解析手法
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概要
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本論文では,組込みソフトウェア向けの故障木解析 (FTA:Fault Tree Analysis) 手法を提案する.今までに,さまざまなソフトウェアに対する FTA 手法が提案されてきた.しかし,それらはソフトウェアの構造に対応した故障木 (Fault Tree) のひな形を準備し,それらを組み合わせることで FT を作成するという提案にとどまっていた.さらに組込みソフトウェア等のリアルタイム性を有するソフトウェアの FTA を行う上での注意点についても明確にしていなかった.そのため,技術者が新たに FT を作成することが困難であった.そこで本論文では,ソフトウェア構造に対する FT のひな形の構造を見直すとともに,FT の作成手順を定義することで,技術者の能力に依存せずに FT を作成できるようにした.さらに FT の作成手順を前処理と作成処理に分割した.FT 前処理では対象となる組込みソフトウェアに対して,命令グループの識別,変数のスコープと使用/代入の識別,ソフトウェアモジュール起動方式の識別等を行い,ソフトウェアの構造を明らかにする.そして,FT 作成処理では,故障を生じる命令の入力変数を同定し,その入力変数の値が代入 (計算) されている命令を追跡するルールを規定した.この作業を繰り返すことで,故障の原因を明らかにする.本論文で提案する FTA 手法をスピン衛星の回転速が速くなりすぎる故障の原因分析に適用した結果,経験の浅い技術者でも適切な FT を作成することができた.また,提案手法を適用することで,技術者間で作成する FT の差異が少なくなることも確認できた.これらのことより,組込みソフトウェアの FTA の品質が向上すると考えられる.
- 2013-10-17
著者
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