中国の自然保護区における自然資源の統合管理について : 森林公園等の経営事業を事例として
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概要
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中国の自然保護区制度は欧米の例を参考にしており、その体系が比較的整然としている。しかし、現場の管理体制は制度の想定する水準に未だ及ばぬ実態にあり、国家主導で進められた自然保護区の建設は、現場で「保護と利用」の相反、周辺住民や地域経済との衝突という問題を生じてきた。これを踏まえた新政策では、ゾーニングと実験区の合理的利用が強調されている。一方、現場の自然保護区では、地域との調整に試行錯誤的な取り組みが積み重ねられてきており、自然保護区制度を利用した資本投資型の経営事業の事例も見られる。具体的には一元管理体制の下での森林公園事業等を通じた地域雇用の促進などがあげられる。経済学的には環境外部性の内部化と位置付けられるこれらの取り組みは、中国の自然保護区行政の将来を展望する上で一つの方向性を示していると考えられる。同時に、閉塞したわが国の森林・林業行政を顧みるとき、その示唆するところは大きい。
- 2007-10-20