岩手県沢内村における山菜・キノコ資源充足度の変動 : 山菜・キノコ採りの生態的側面と社会的側面
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概要
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岩手県沢内村では、山菜・キノコ資源の充足度が低下している。これまで自然資源利用に関する研究は、利用圧を抑える制度やルールなどの社会的側面にのみ焦点が当てられてきた。本稿は資源の環境容量自体も変動するという仮説に立ち、生態的側面と社会的側面の両面から資源充足度の変動を解釈することを試みた。生態的側面では、採取地の成立背景に着目することにより、伝統的な山林利用の減少が環境容量の減少を、拡大造林が一過性の環境容量の増大の後に不可逆的な環境容量の減少をもたらしたことが推定された。社会的側面では、採取に関するルースな規範の存在したことによって、資源のアクセシビリティの容易化が利用圧の増大に直結したことが推定された。これら両方の変化を視野に入れることで、沢内村における山菜・キノコ資源充足度の低下のメカニズムを理解できた。
- 財団法人林業経済研究所の論文
- 2006-06-20