管理会計研究における実証研究の特徴と課題 : アーカイバルデータを用いた実証研究に焦点を当てて
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概要
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本稿では,アーカイバルデータを用いた実証研究(以下,実証研究とする)の特徴と課題を一般的な実証研究の枠組みに沿って概説し,管理会計研究における今後の実証研究のあり方について検討する.近年,日本の会計研究においても実証研究が増加傾向にあり,これは管理会計研究でも顕著である.実証研究は様々な研究テーマ・課題の下で設定された仮説を統計的な手法を通じて検証するものであり,その知見の蓄積は,管理会計研究および実務に対して大きな貢献を果たしうる.しかしながら,実証研究には多くの限界があり,それを把握しておくことは重要である.そこには,仮説設定におけるバイアス,変数を特定化する際の分析者の主観性,実証モデルの選択,検証結果の解釈の問題が含まれる.こうした問題を解決するためには,検証手続きの精緻化,適切な統計手法の適用とともに,他の方法を用いた研究とのコラボレーションが重要となる.
- 2013-03-31