地位比較対象の直接的測定の試み 準拠集団に関するインターネット調査結果の分析 (1) (経済学部特集号)
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概要
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本稿では、(1)比較対象選択と個人属性の関連、(2)比較対象の所得分布イメージ、(3)個人の意識・態度に対する他者比較の効果、の3つの問題に対して、ダイレクトに比較対象を尋ねた調査の結果から回答を模索した。分析の結果として、(1)の問題に対して、生来的/社会経済的地位に特徴づけられる個人属性によって、比較対象を選択する際に重視する次元が異なることが明らかになり、(2)の問題に対しては、選択を行う個人の属性や比較対象を選択する次元、さらに、選択次元と個人属性の交互作用によっても比較対象に抱く平均所得イメージが変化することが明らかになった。また、(3)の問題に対しては、アドホックに比較対象を定義してきた従来の研究で他者比較との関連が指摘されていた幸福度、生活満足度、主観的な健康状態、階層帰属意識を取り上げて、これらの意識・態度と回答者が抱く比較対象の所得イメージとの関連を確認したところ、必ずしもすべての意識・態度で他者比較による影響が確認できないことが示された。
- 2013-07-15