日本のデザイン産業を中国に輸出する際の実務課題検討 : Japan Design+事業の分析より(<特集>デザイン思考)
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概要
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本研究は,中国企業に対して,選抜された20人の日本人の若手デザイナーが実際に商談をするという経済産業省の事業「Japan Design+」の経緯を詳細に観察・分析し,日中間でデザイン産業を輸出する際に発生する実務的な課題をどのように解決すべきかの検証を行った.事前の需要調査やヒアリングで判明していた4つの課題に沿って事前仮説を設定し,実際の商談を経た後の個別ヒアリングから量的・質的な結果を聴取.それを統計解析することで,効果的な商談手法について仮説検証を試みた.その結果,中国企業とのデザインビジネスの商談においては,相手の最終意思決定者に対して英語を用いて直接交渉を進め,かつ早期にデザイン対価を明示する商談が有意に効果的であることが判明した.これは通訳者を介して商談頻度を増やすという従来の商談方法とは違いがあり,中国にデザインビジネスの進出を考える実務家にとって有用なヒントになる.また中国の文化背景に根ざした,日本人デザイナーへの異質な期待内容についても興味深い示唆が得られた.
- 2012-12-31