不定根活用による老齢木「金剛桜」の樹勢回復
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概要
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国指定重要文化財の日光山輪王寺金剛桜は,1990年頃より樹勢が衰退したため日光市文化財保護審議会から樹幹の腐朽部を除去し,防腐処理をする旨の指導を受けた.そこで,樹勢回復のための事業を行うことになった.事業は,樹幹の腐朽が進んでいるため,腐朽部を除去することが出来ない状態であり,不定根を活用して樹勢を回復することになった.不定根数本が土壌に達していたため,この部分の土壌改良をして栄養を補給することにした.土壌改良材は,土壌分析結果により醗酵済み米糠,バーク堆肥,骨粉 木炭を調剤して用い,土壌の通水性を保つためにパーライトを使用した.さらに,土壌の踏圧による酸素不足を補うためグリーンパイプを設置した.土壌改良事業は,1998年から3年間に分けて行った.事業後5年頃から効果が現れ始め,葉の密度が高まり,当年枝の伸張量が増加し,花の数が増加して2011年5月の満開時には,金剛桜の全盛期の花数に戻った.
- 2012-04-30