広汎性発達障害児の書字反応の変容に及ぼす自己記録パッケージの効果
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概要
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本研究の目的は、1名の広汎性発達障害児の書字反応の変容を標的として、自己記録パッケージが効果的に作用する条件を検討することであった。参加児は、視写課題において標的となる漢字を書き写した。自己記録I期では、参加児は書き写した漢字が正反応の基準を満たしているか自己記録した。自己記録の導入に伴い、書字の正反応率は一時的な上昇を示したものの、即座に減少を示した。また、自己記録の正確性も同様の傾向を示した。そこで、正反応の弁別を高めるための弁別訓練、正確な自己記録を高めるための記録用紙の改訂を行った。その後の自己記録II期では、書字の正反応率および自己記録の正確性は自己記録I期に比べて高い水準を示した。以上の結果から、正反応の弁別訓練、自己記録用紙の個別化を含む自己記録パッケージの効果が示唆された。今後の課題として、適切な実験デザインによる評価、日常場面の般化測定が残された。
- 2012-05-31