介護老人保健施設における看護師の認知症高齢者ケア場面のとらえ方とケア行動の特徴
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概要
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本研究の目的は認知症高齢者と看護師相互のケア場面に焦点を当て,看護師が認知症高齢者の言動をどのようにとらえ,どのようなケア行動をしているのかを明らかにすることである.方法は介護老人保健施設で働く看護師10人を対象に,半構成的面接調査を行い質的記述的研究方法で分析した.看護師が認識するケアがうまくいったと思う場面での言動のとらえ方は《その人には強い思いがある》《その人の言動にはなにか理由がある》《人として当たり前の思いをもっている》《その人のもてる力を発揮していない》《楽しみが必要》であり,そのケア行動は《その人の意に沿った対応》《その人を気遣う対応》《その気になるように対応》《生きる意欲につなげる対応》のカテゴリーに分類された,ケアがうまくいかなかったと思う場面では《その人の言動にはなにか理由がある》《その人の思いがある》《認知症の人は相手の思いを察知する》ととらえながらも《認知症だから分からない》ととらえ,そのケア行動は《その人の意に沿わない対応》《その人は認知症だからという対応》《人としての尊厳を欠く対応》のカテゴリーに分類された.この結果から,どのようなケア場面においても,認知症ケアへの倫理感を育む必要があることの示唆を得た.
- 2013-03-20