Acacia mangium植林地土壌ならびにImperata cylindrica草原土壌への窒素添加がリンの存在形態ならびに酸性ホスファターゼ活性に及ぼす影響
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概要
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マメ科樹種植林における窒素(N)濃度の高いリターの投入は,土壌中の微生物活性を高め,植物によるPの利用性を促進する可能性がある。本研究ではAcacia mangium植林地とその前植生であるImperata cylindrica草原の土壌において,陰イオン交換樹脂(resin-P),NaHCO_3(NaHCO_3-P),NaOH(NaOH-P),HCl(HCl-P)を用いた逐次抽出法による無機態P(Pi)および有機態P(Po)の形態別分析とNおよびCの添加培養試験を実施した。両土壌における全Pに占める有効態P(resin-P + NaHCO_3-Pi)の割合は4-6%である一方,有機態Pの割合は35-45%であった。アカシア土壌と草原土壌のP形態および全Pには有意な植生間差がほとんど認められず,各土壌の粘土含量の違いがリンの存在様式をより強く規定していた。全培養期間を通じ,N無添加区におけるアカシア土壌の酸性ホスファターゼ活性(APA)は草地土壌より高く,N添加によってアカシア土壌のAPAはさらに増加した。このことから,アカシアなど窒素固定樹種下の土壌はN濃度の高いリターの継続的な投入によって高いAPAを獲得しており,リン制限のかかった熱帯土壌においてより高いリン獲得ポテンシャルを備えている可能性が示唆された。
- 2012-12-25
著者
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