技術統合プロセス : 自動車部品事業におけるメカニクスとエレクトロニクスの技術統合
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概要
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近年,技術変化が急速に進んでいるため,企業では内部での技術創出と外部からの技術獲得を可能にする必要性に迫られている。そのため企業は技術獲得や創出のための能力を学習せざるを得なくなっている。従来は支配的な技術が一つだけ存在し,技術転換によって旧来の技術が新技術に駆逐されることを繰り返すことで技術進歩を遂げると考えられていたが,内燃機関動力(ガソリンエンジンやディーゼルエンジン)と蓄電池によるモータの回転動力を組み合わせた動力源を使うハイブリッド技術のように,様々な技術が融合することにより,従来それぞれの個性を有していた技術が新しい技術に向けて収斂していく技術統合が行われるようになった。本論文ではデンソーのEFIを事例として技術統合プロセスについて考察した。ここでのケースにおける技術統合プロセスは以下の3段階及び各段階間を埋める飛躍で成り立っている。(1)基幹部品の技術導入(コア技術の取得) (2)周辺部品の内製化(周辺技術の拡大) (3)システム化(システム製品の提供) コア技術の取得と周辺技術の拡大間の飛躍は,中間技術の採用により実現され,次の周辺技術の拡大とシステム製品提供間の飛躍は,メカニクスとエレクトロニクスの知識やノウハウを一元管理する部署を組織したことで知識やノウハウの統合が起こり,それをもとにメカニクス技術とエレクトロニクス技術の技術統合を実現し,メカトロニクス技術を確立したことでなされたことが分かった。
- 研究・技術計画学会の論文
- 2013-01-31