重度知的障害者の高齢化と医療福祉的課題
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概要
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近年重度知的障害者の長寿化は著しく,高齢者が急増している.重度知的障害者には早期老化現象がみられ,様々な課題に直面するようになっている.高齢化に伴う機能低下には,運動機能,認知機能,感覚機能に加え,意欲の低下も含まれる.外見の老化や脳の萎縮も早く進み,悪性腫瘍や認知症を合併するリスクも高く,さらに摂食機能や呼吸機能の障害が進行するので医療ニーズの増大と直接結びつく.重度知的障害者が健康で有意義な余生を送るためには,個別性に配慮したゆったりとした生活,向精神薬の整理,てんかんのコントロールや栄養状態の改善などが大切である.重度知的障害者における老化の実態は不明な点が多く,研究の進展が必要である.高齢化を迎えた重度知的障害者には,質の高い医療対応,適切な日常生活介助,そして社会的・経済的な支援が望まれる.
- 2013-05-00