著者性とパースペクト・シフト : 時制辞と引用符が教えること(テキスト・談話,思考と言語一般)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
あることを述ペる時、我々の言葉はその背景となる文脈やパースペクトを介して理解される。ところが、文脈やパースペクトは常に一定であるとは限らない。文の途中でシフトする場合もある。このような現象に日本語の授受動詞や混合話法が関係していることはよく知られている。しかし、他にも、(近年、現代日本語で多用されているという)引用符や(相対的テンス説では説明できない)埋め込み節の時制形式の使用も文脈やパースペクトのシフトに関係する場合がある。本稿では、このような現象について、<報告の報告>という観点から捉えなおし、一見不可解に見える引用符や時制辞のふるまいは、当該の文や句の発話者-著者パラミターを挿入するためのものであり、パークト・シフターと見なすことにより説明できることを提案する。
- 2012-06-16