防人歌「常陸国・下野国歌群」の成立
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概要
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『万葉集』巻二十収載、天平勝宝七歳防人歌の場の論を追究する時、他の国には見られない特徴を持っている常陸国防人歌は重要な鍵となる歌群と位置づけられる。本稿は、常陸国防人歌の特徴の意味を追究し、前半は、直前の大伴家持長歌「私の拙懐を陳ぶる一首」の難波詠と密接に結びつき、後半は下野国防人歌の冒頭部と密接に結びついていること、また、歌の分析より見出される「常陸国・下野国歌群」は、その背景に家持防人関連長歌があり、家持が歌世界の中で構築した「防人」像を現実の場に求め、身分を越えて和歌という文雅の世界を共有することに一つの理想を見出した結果が見だせることを立証する。
- 2013-06-00