学校不適応を示す生徒に対する養護教諭の連携行動
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概要
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学校不適応を示す児童生徒の増加は社会的な課題となっている。また、この課題に対する働きかけとして、学校内外における人的な連携が重要視されている。その一方で、この学校内外におけるコーディネーションに対するマンパワーとして養護教諭に期待が寄せられている。本研究は、学校不適応を示す生徒への校内外の支援に関連して、①養護教諭がどの様な連携行動をとっているかを明らかにするとともに、②養護教諭自身の心理・社会的要因が、学校不適応感を持つ生徒を支援する時の連携行動にどの様に影響するかを検討した。研究1「学校不適応感を持つ生徒への校内外連携に対する養護教諭の連携行動の聞き取り調査」では、神奈川県下A市の中学校の養護教諭を任意に抽出し、面接を実施した。さらに、研究2「学校不適応感を持つ生徒への校内外連携に対する養護教諭の連携行動の分析」では、同市に在籍する養護教諭163名を対象に調査(①学校規模等、②養護教諭の属性、③学年連絡会、特別支援委員会、学校不適応生徒への支援委員会の開催状況等、④連携に関する養護教諭の行動、⑤社会的スキル尺度、⑥被援助志向性尺度、⑦連携に対する考え)を実施した。研究1において、学校不適応感を持つ生徒への校内外連携に対する養護教諭の行動と課題を文章化したところ476枚の小ラベルが抽出され、46のカテゴリーに分類された。このことから養護教諭の行う連携行動は、多岐にわたり複雑であることがわかった。研究2では、養護教諭の行う連携行動に関して回答に偏りのある質問が24項目存在する一方で、多くの質問項目の回答が分散する傾向が認められた。これらの項目に関連して、養護教諭は、学校規模では中規模校、勤務年数では5年未満の群で、連携行動をとりにくい傾向が認められる一方で、社会的スキル尺度得点、被援助志向得点が高い養護教諭の群で連携行動をとる傾向が認められた。以上の結果から学校規模および勤務経験に応じた養護教諭への支援と養護教諭自身の連携行動に関するスキルを高めることが必要であると考えられた。
- 2010-02-00