フィジカルイグザミネーションを用いた老年臨床看護論実習IIの学習効果
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概要
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目的 本研究では老年看護学実習IIにおいて,学生がフィジカルイグザミネーションでどのような学びを習得しているのかを明らかにするとともに,実習までの他領域実習経験数に応じた学びの特徴を明らかにすることを目的とした.方法 A大学の老年臨床看護論実習IIでは実習初日の患者の状態・状況把握において,カルテを見ることなく学生自身の五感を駆使して情報を得る方法を導入している.A大学における老年臨床看護論実習IIを受講した学生59名を対象に,この手法を用いての実習の学びのレポートに対しテキスト分析を行った.結果 回収されたレポートは39名分(回収率66.1%)であった.テキスト分析の結果,対象の約1/4の使用にあたる9個以上の頻度で出現した単語は31個であった.単語同士の関係の深さより学びの内容を集約した結果,【実際−考える】,【カルテ−自分−五感−大切】,【患者−知る−必要】,【情報−できる−ない】の4つのグループが抽出された.これにより,学生は対象のアセスメントに必要な情報の構成を考え,情報収集の手段を考え,手順を考えていく過程の中で,対象の現状を理解するために必要な知識の大切さを学び,対象のもてる力を実際に関わって把握していく難しさと大切さを学んだことが明らかとなった.また,老年臨床看護論実習IIまでに経験した他領域の臨床看護学実習数を「初期:0回〜 1回」「中期:2回〜 6回」「後期:7回〜 8回」とした場合,後期群は「先入観」「情報収集する」「接する」の記述が多いことが示され,実習後期の学生においては先入観なく高齢者本来の姿を見ることができたという学びが明らかとなった.
- 2013-04-00