本態性高血圧患者のアンジオテンシン受容体遮断薬に対するべニジピンの追加投与が、スケーリング係数に及ぼす影響について
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概要
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目的:アンジオテンシン受容体遮断薬とカルシウム拮抗薬の併用による降圧効果の機序について、DFA(Detrended Fluctuation Analysis)より得られるスケーリング指標を用いて判定した。,対象と方法:カルシウム拮抗薬およびアンジオテンシン受容体遮断薬との併用療法の有用性を研究することを目的としたJ-SUCCESS(Study of the Usefulness of Combination Therapy of Calcium Antagonist and AT1 Antagonist in Essential Hypertension)に登録された対象より、ホルター心電図のデータベースの53名を選択した。アンジオテンシン受容体遮断薬投与にも関わらず130/85mmHgの降圧が見られない対象に対しカルシウム拮抗薬(べニジピン)を投与し使用前と使用12カ月後の外来時血圧を測定した。収縮期血圧が20mmHg以上低下した例を良好反応群とみなした。24時間心電図に対しては、RR50解析、周波数スペクトルによる心拍変動解析およびDFAを用いた心拍解析を行った。周波数解析のパラメータとして、HFおよびLFを計測した。DFA解析では、スケーリング係数α1およびα2を演算した。統計学的手法として、データは平均±標準偏差であらわし、群間のの比較はt-検定を用い、p値が0.05未満の場合を有意差があるものとみなした。,結果:血圧はベニジピン使用前後で151.2±13.4mmHgから132.4±13.9mmHgに低下した。心拍変動の日内変動に関するパラメータは、べニジピン使用前後で有意差を認めなかった。一方DFA解析で、α1に関して、良好反応群で、有意な増加を示した。,考察:ARBにベニジピンを加えた治療を行うことにより、良好反応群ではスケーリング係数α1の増加がみられた。この機序として今後詳細な検討が必要であることが示された。
- 2013-04-25