がんの最新治療各論(2)末梢型早期肺がんに対する診断と手術

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近年、CT機器の発達、CT検診の普及などにより、末梢小型肺結節が発見されることが多くなっている.確定診断のため気管支鏡検査や経皮肺生検が行われるが、末梢小型病変の場合術前に診断することは難しく、開胸肺生検が必要となることもある.最近では低侵襲な胸腔鏡下肺生検が主流である.末梢型早期肺癌は、胸部CTですりガラス陰影(ground glass opacity: GGO)を呈し、リンパ節転移や遠隔転移なく、予後良好といわれている。肺がんに対する外科治療の標準術式は、肺葉切除+縦隔リンパ節郭清であるが、最近では2cm以下の末梢小型肺癌に対して積極的縮小手術である肺区域切除が行われ、肺葉切除と同等の治療成績が報告されている.現在、肺葉切除と区域切除の比較試験が進行中であり、結果により今後早期末梢肺がんに対する標準術式が変わる可能性がある.肺区域切除は、肺葉切除に比べ肺機能を温存することができ、患者のQuality of life(QOL)を維持させることができる。しかし、肺動静脈、気管支のバリエーションが増えるため、手術手技は難しくなる.安全、迅速かつ確実に手術を行うため、術前にCT画像から肺動静脈、気管支を3次元再構築するツールが数多く開発されている.当科ではCTTRYという3D再構築ソフトを開発・導入し、術前シミュレーションおよび術中ナビゲーションとして使用している.CTTRYのメリットは、無料で導入でき、データが軽く、造影CTを必要としないことにある.3D画像を作製するために、時間がかかるが、若手外科医にとって肺の局所解剖を理解する学習的側面もある.区域をさらに細かく分けた多亜区域切除という術式も登場してきた.多亜区域切除は、手術手技は難しくなるが、より肺機能を温存できる縮小手術といえる.今後根治性などの検討が必要であるが、患者にとってQOLを維持した治療になると期待されている.
2013-04-25

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