急性期に咽後膿瘍様の所見を呈した川崎病の一例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
咽後膿瘍は主要症状が揃わない、いわゆる不全型川崎病に合併することがあり、しばしば診断に苦慮する。今回の症例は5歳男児。発熱2日目(2病日)に頸部痛、嚥下痛を主訴に来院し、炎症反応高値のため入院した。入院時に認めた川崎病主要症状は発熱、両側頸部リンパ節腫脹、軽度の眼球結膜充血のみであり、心エコーでも異常を認めなかった。化膿性頸部リンパ節炎と考え抗菌薬を投与するも解熱せず、3病日に頭頸部CTを実施したところ咽頭後隙に低吸収域を認め、咽後膿瘍を疑った。抗菌薬を変更するも解熱は得られず、経過中に口唇発赤と手掌紅斑が出現し、心エコーで冠動脈の輝度上昇も認めたため川崎病として第10病日にガンマグロブリン大量療法(IVIG)を開始した。12病日の2回目のIVIG後に解熱し、その後再燃はなく第20病日に退院した。冠動脈瘤後遺症予防のため、抗菌薬に反応しない咽後膿瘍の症例では、川崎病を積極的に考慮する必要がある。
- 2013-03-25