地域女性高齢者の皮膚の乾燥状況と乾燥に関連する生活習慣の実態
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概要
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地域女性高齢者の皮膚の乾燥状況と関連する生活習慣の実態を明らかにすることを目的として,65歳以上の女性を対象に自記式質問紙による調査と角層水分量の測定を行った。質問紙の項目は,基本属性(年齢,現病歴),入浴習慣(入浴頻度,石鹸使用頻度,石鹸の使用方法,石鹸の種類,洗体方法,洗体物品,湯の温度等),皮膚に対する関心,皮膚の乾燥や掻痒感の有無とその部位,保湿剤使用状況と使用部位,乾燥予防に関する情報入手経験(情報を入手した媒体,具体的内容)等である。角層水分量の平均値は前腕が16.1±78μS,膝下が9.4±4.3μSであり,膝下は前腕に比べて有意に低かった(p<0.001)。皮膚の乾燥を助長する入浴習慣を続けている者がおり,後期高齢者は前期高齢者に比べ,石鹸の種類を認知しておらず(p<0.05),乾燥群は非乾燥群比べて,強く擦る洗い方をしていた(p<0.05)。乾燥予防に関する情報を得た経験がある者は35.4%であり,入浴に関連する情報は3.1%であった。皮膚の乾燥は冬季に著明となるが,夏季でも乾燥が認められ高齢者にとって皮膚の乾燥は季節を問わず身近に経験するものであるといえる。高齢者は皮膚の乾燥予防についての知識を得る機会が非常に少なく,今後は高齢者が身近に経験する皮膚の乾燥に対し,入浴習慣の見直しをはじめとする予防行動をとることができるよう情報提供の場を設けていく必要性がある。
- 2013-01-31