日本における睡眠科学の最新の知見と動向
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概要
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睡眠科学の最近の知見と動向を,日本人の研究を中心に概説する.睡眠/ 覚醒の調節には神経活動にもとづく神経機構と睡眠物質にもとづく液性機構の双方が関与すると考えられており,神経機構の解析のために,脳波や筋電図に加えて,1個の神経細胞の活動を記録するUnit recording が行われている.一方,液性機構の解明のために,薬理学的実験に加えて,遺伝子操作動物を用いた研究も行われている.遺伝子操作に加えて,光刺激による神経活動の観察や制御を行うオプトジェネティクスは,発展が著しい分野である.ヒトを対象とした全ゲノム関連研究や遺伝子発現の網羅的解析は候補遺伝子を同定する強力な手段である.これらは,睡眠科学においても利用され始めている.睡眠の基礎研究が臨床応用にまで至った例として,ナルコレプシーとオレキシンの研究がある.これら睡眠科学の分野において,日本人研究者の果たしてきた役割は大きく,今後さらに発展することが期待されている.
- 2012-02-00
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