新たながん対策推進基本計画について
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概要
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平成24年6月8日にがん対策推進基本計画(以下「基本計画」という)の変更案が閣議決定された.平成18年に成立したがん対策基本法(以下「基本法」という)に基づき,前基本計画が閣議決定されたのが平成19年6月であったが,基本法の「少なくとも5年ごとに,がん対策推進基本計画に検討を加え,必要があると認めるときには,これを変更しなければならない」とあることを受けた5年ぶりの変更であった.この見直しの位置づけについては,第35回がん対策推進協議会における門田守人会長の発言が的確に示していると考えられる.以下に引用する.第一期の基本計画の段階では,がんの死亡率を20%減少させるということと,患者さんの苦痛をとり患者さんの療養の質を高めるということで,主に「がんという疾患」並びに「がん患者」というものを中心にした計画であった.今回はそれを「社会」という観点に広げた.がん患者の就労問題やがん教育の問題など社会全体で支え合うテーマも含まれたのが,第二期の基本計画と言えるのではなかろうか.また,第一期は,具体的な数値目標として,量を目標としたけれども,今回の協議で質を重要視するということで進んだと理解している.本稿では,新たな基本計画に盛り込まれた重要な課題や必要な事項について説明し,わが国のがん対策の方向性を概観する.
- 2012-12-00