多発性骨髄腫のこれまでの治療と最近の治療について
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概要
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多発性骨髄腫(以下MM)は形質細胞の腫瘍性増殖による疾患で、一時的には治療に反応するものの再発が必須である。サリドマイドがMMに有効であることが明らかとなり、その後ボルテゾミブおよびレナリドマイドが治療に用いられ、これまでの標準治療とされてきたメルファラン、プレドニゾンによるMP療法からMMに対する治療が大きく変わりつつある。これまで予後不良因子としての染色体異常、例えば13番異常を持つMM患者は、従来の治療に抵抗性を示していたが、これらの薬剤の出現により奏功率が高まり、かつ長期生存が可能となった。,これまでMP療法から大量メルファラン療法、さらにVAD(ビンクリスチン、アドリアマイシン、デキサメタゾン)療法が行なわれ、自家骨髄移植や大量デキサメタゾン療法へ治療が変遷した。その後自己末梢血幹細胞移植を2回行なうタンデム移植が試みられたが、移植後に再発する問題が残った。,MMは高齢者に多い疾患であるため移植適応と非適応の患者を分けて治療を考える必要があり、海外のガイドラインでは別々な寛解導入療法が推奨されている。移植非適応MMではMPとボルテゾミブ、あるいはレナリドマイド、ボルテゾミブとレナリドマイド、デキサメタゾン療法が第一選択となりつつある。,また、再発・難治性MMに対する治療法も新規薬剤の導入により変化が見られている。ボルテゾミブに続くCalfilzomib、MLN9708(経口薬)、Morizomib、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬であるVorinostatやPanobinostat、第3世代のimmunomodulatorといわれるPomalidomide、モノクロナール抗体のElotuzumabやBT062、さらにBendamustineなどを用いた治療成績も報告され、治療ガイドラインに取り入れられている。今後のMMに対する標準治療が変わる可能性があると考えられる。
- 2013-03-31
著者
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