注意の瞬き事態に見られるP3 成分の遅延に関する再検討
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概要
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注意の瞬き(attentional blink)は,複数の標的刺激が短い時間間隔で呈示されたときに後続の標的刺激の見落としが増えるという,非常に頑健な現象である。Vogel & Luck(2002)など多くの研究では,見落としが起こる間隔で呈示された標的刺激の呈示時に惹起するP3の潜時が遅延することが報告されている。本研究では,このP3潜時の遅延が見られた事態でのERPの算出過程に着目し,再検討を行った.その結果,観測されたP3潜時の遅延は,標的刺激の呈示に関するERPの算出過程において,直接の標的刺激に対しての処理とは関連のない成分が重畳した結果である可能性が示された.これは,処理遅延を仮定しない注意の瞬きの説明モデルにおいても,ERPの結果が有用な知見として利用される可能性が高まることであると考える.
- 2013-03-31