会話分析を通しての「分裂文」再考察 : 「私事語り」導入の「〜のは」節(<特集>相互行為における言語使用:会話データを用いた研究)
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概要
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本稿では,「分裂文」(cleft)と呼ばれる構文が,日常会話やインタビューなどの話し言葉の中でどのように顕在化するのか,話者交替の達成や参加体系の構築にどのように作用するのかを考察する.ここで取り上げる分裂文とは「(補文)のは(補文)ことだ」という形をとるとされている文である.しかし,自発的な話し言葉では,「〜のは」節で始まった発話の終結部が「〜ことだ」という形ではなく,「〜のは」節に用いられた述部と同じ,或いは同様の意味を持つ述部を繰り返す形になっているケースが多く認められる.ここでは,二つの会話の抜粋の中に見られる「〜のは」節の使用例を会話分析の手法を通して分析し,これらの例の中で,「〜のは」節がこれから話者が自分の意見や感想を述べるということを伝える「前置きの前置き」(Schegloff, 1980)として用いられ,その後,背景となる必要情報を伝えたうえで話者の私見を述べるという話の流れを可能にしていることを検証する.また,文法構造というリソースがいかにプロソディー,非言語行動といった他のリソースと協働し合って参加者の相互行為の達成・理解に貢献しているのかについても検討する.
- 社会言語科学会の論文
- 2008-03-31
著者
関連論文
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