会話参加者間の社会的関係による感動詞の音声的特徴 : 応答における「あ」のバリエーション
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概要
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本稿では,会話の応答発話に観察される感動詞「あ」について,会話の相手との社会的関係と「あ」の音声的特徴との対応を精緻に分析するため,回答者に「あ」を含む,さまざまな音声的特徴を持たせた応答発話を聞かせ,会話参加者間の社会的関係を想定してもらう聴取実験を行った.その結果,上下関係・親疎関係といった社会的関係の判断と「あ」のF_0パターン・持続時間といった音声的特徴との対応が観察された.「あ」の音声的特徴と社会的関係との間の対応関係については,話し手の生理的要因(緊張)と話し手の意図的要因(相手のフェイス(face;Brown&Levinson 1987)に対する配慮)が一般に関わっていると想定できる.相手が上の場合に話し手が典型的に受ける緊張により,声帯の振動は高く,イントネーションの変化は小さく,持続時間は短くなる.また,話し手が相手のネガティブ・フェイスを満足させるためには,F_0の変化を小さく,持続時間を短くし,逆に,ポジティブ・フェイスを満足させるためには,F_0の変化を大きくする.
- 社会言語科学会の論文
- 2005-09-30
著者
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