依頼行動と感謝行動の<関係>に関する日韓対照
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概要
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対人的距離意識に関する日韓の違いを把握するために,両国の市民(東京・大阪・ソウル・プサン在住者)を対象にアンケート調査を2003年に実施した.ある依頼場面を設定し,その状況で他者に対し依頼をするか否かを尋ねた.その結果,高年層においては,友達や知り合いになったばかりの人に対する場合,日韓で多少差が認められた.また,若年層においては,家族に対する場合,やはり日韓で多少差が認められた.しかし,全体としては日韓で大きな差は認められなかった.また,そうした依頼を実行してくれた人に対しどのような反応をするか尋ねたところ,言葉でお礼を言うという回答が,中年層以下においては,家族や友達に対する場合,日韓で多少差が認められた.しかし,全体としては,日韓でやはり大きな差は認められなかった.これに対し,依頼と感謝の<関係>を分析したところ,ソウルに特徴的な傾向が認められた.すなわち,依頼できない友達がもしそれをしてくれた場合,依頼できる友達がそれをしてくれた場合よりも,感謝を口に出して言う人の割合が低くなる.これは,日本では認められず,また同じ韓国でもプサンには認められない現象であった.
- 社会言語科学会の論文
- 2005-09-30